- 著者
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荒川 忠一
有賀 清一
飯田 誠
- 出版者
- 環境芸術学会
- 雑誌
- 環境芸術 : 環境芸術学会論文集
- 巻号頁・発行日
- no.1, pp.13-19, 2001-12-25
風車の普及に伴い,景観との適合を含めた新しいデザインの機運が高まってきている。ドイツにおいてはハノーバーのEXPOと時を同じくして3台のアート風車が出現した。コペンハーゲン近<の海上には,美しい弓形に配置された20台の洋上風車が完成した。このように風車を単なるエネルギー機械として捕らえるのではなく,人々のメッセージを伝えるインスタレーションの役割を担わせることが可能となりつつある。本研究は,ヨーロッパ諸国の新しい風車のデザインやその背景を紹介しながら,「ヴァナキュラー風車」の提案を行うものである。つまり,エネルギー経済性の観点から大量に風車が設置される可能性があり,高さ100m近い大型風車が50年後には1都道府県あたり2,000台とも予想される。このような状況において,景観に適合することはもちろん,地域の文化や情報を発信することのできるデザインが必要となる。本来の風車の性能を維持しつつ,豊かなデザイン性を発揮するためには,風車タワーの形状,カラーリング,そして風車の配置などに工夫を凝らすことができる。東北地方および東京を具体的な対象地域として,ヴァナキュラー性を有した風車デザインの具体例を紹介する。